ボトックス・ヒアルロン酸注入治療について

当院では、しわ、たるみの治療としてボトックスやヒアルロン酸注入治療を行っています。様々な製剤がありますが、当院では、厚生労働省で薬事承認されているアラガン社製の製剤を使用しております。施術は施注資格を有する院長が行います。

最近の美容治療の考え方として、トータルフェイシャルトリートメントというものがあります。

ボトックスやヒアルロン酸を解剖学的な観点からうまく使いわけて使用することにより、老化に伴うしわやたるみ、肌質を改善し、より自然な若返りを目指す治療方法です。例えば、ひと昔前はヒアルロン酸治療といえば、しわがある部分に直接溝を埋めるように注入する治療が主流でしたが、最近ではまず最初にしわの溝に埋めるように注入するよりも、リフティング効果が得られやすい骨膜上の深い部位に、硬いヒアルロン酸製剤を少量注入することが推奨されています。老化による骨萎縮や皮下組織の減少を補うことで自然な仕上がりを目指せます。

額や眉間、目じりのしわは、主に表情筋の収縮により生じます。表情が豊かで表情筋が発達した方に生じやすく、年齢とともにしわは深く刻まれていきます。ボトックスは筋肉の収縮を抑制することにより、しわを改善するだけでなく、しわがそれ以上深くならないように予防する効果もあります。

エラが張っている方で、フェイスラインをほっそりさせたい方には咬筋へのボトックス注射が効果的です。

ボトックスには汗腺からの汗の分泌を抑える作用があり、多汗症の治療にも使用されています。

当院では重症の原発性腋窩多汗症のボトックス治療には、保険適用があるボトックス製剤を使用しています。保険適用の場合の費用は両ワキに５０単位ずつ１００単位で2万円程度（３割負担の場合）です。

ボトックスの効果は約4か月間持続します。

マイクロボトックスと呼ばれる皮膚の浅い部分に少量ずつ注入する方法を用いると、エクリン汗嚢腫という目の周りなどにできる発汗により増悪しやすい小さな皮疹（丘疹）の治療にも有効です。

また、ダーマペン４と組み合わせることでお顔全体の皮膚の浅い部分に均一に注入することもでき、汗や皮脂分泌を抑制し、毛穴をひきしめるなどの肌質改善も期待できます。

ヒアルロン酸製剤のご紹介

１.ボリューマ

アラガン社のヒアルロン酸製剤であるジュビダームビスタシリーズのボリューマは硬い製剤で、治療効果は2年程度と長く、少量でも注入部位によりリフティング効果を期待できる製剤です。ボリューマが初めての方の、おすすめの注入部位は、Ck1領域（頬の外側上方）の骨膜上（深い部分）です。左右に0.3㏄ずつとごく少量を注入することにより目元のしわやゴルゴライン、ほうれい線、マリオネットラインなどのしわが全体的に引き上げられ目立たなくなる効果が期待できます。ヒアルロン酸製剤は1本（1㏄）55,000円が最低単位の使用量となりますので、ボリューマを1本のみ使用する場合、まずはCk1領域に左右に0.3㏄ずつ0.6㏄使用し、余った0.4㏄はCk1注入のみでは改善が乏しい部分に注入しています。

ヒアルロン酸を2本以上使用すると、以下に説明するCk３やCk4 といった複数部位に十分量注入でき、全体的に引き上げられより満足度の高い治療効果が期待できます。

下眼瞼下方から頬内側のゴルゴラインがある領域（Ck３領域）や耳前部、頬の外側（Ck４領域）のボリュームロス改善のために行うヒアルロン酸注入治療では、カニューレと呼ばれる先が鋭利でない針を使用し、疼痛や出血リスクを抑えて注入しております。

２．ボライトXC

ボライトXCはハリ・つやの低下・乾燥・小じわ・毛穴の開き・凹凸などの肌質を改善する効果について厚労省が承認した肌質改善ヒアルロン酸製剤です。

ジュビダームビスタシリーズの中で最も柔らかい製剤で、0.5㎝～1㎝間隔で真皮という皮膚の浅い領域に均等に注入することにより、失われた弾力を取り戻し、皮膚の表面の小じわや凹凸を改善し、お肌のつや・はりを取り戻します。治療効果発現までの時間は、ボリューマやボリフトが注入直後であるのに対して、ボライトXCは柔らかい製剤のため周囲に広がりなじむまでに約1ヶ月程度かかります。治療効果は注入後、約9か月間と硬い製剤に比べて短くなります。

ボライトXCを使用する目安の量はお顔全体で3本とされますが、1本(１㏄）でも中顔面の内側に注入すると正面から見たお顔の印象が改善し、満足度の高い効果が期待できます。

首のしわにも有効で、1本～2本が目安の使用量です。

ヒアルロン酸注入前には麻酔クリームを塗布しております。